古厝民宿水調歌頭



所在:金門県金城鎮前水頭40、41号

電話:082-322389、0932-517669

料金:W1200元/室

URL:http://www.familyinn.idv.tw/a15.asp

アクセス:
金門空港からタクシー15分

管理人のコメント:
 金門島にはたくさんの民家民宿がある。とくに、島内数カ所に残る伝統的集落にある古い民家建築をリノベーションした古厝民宿(古民家民宿)では、宿そのものもさることながら、昔ながらの集落全体の雰囲気に浸ることができるので、格別に印象深い旅が楽しめる。
 今回の旅では、金門島西南部の海に近い水頭集落にある古厝民宿「水調歌頭」に宿泊した。実際に現地に着いてみると、歴史の本で見るような閩南式建築が、きれいに手を入れられた状態で待っていて、本当にこんなところに泊まれるのと驚いたくらいだ。
 「水調歌頭」は、複数の古厝(古い住居)を借り上げた民宿で、その一つ「水頭40號民宿」は、「双落双護龍」などと呼ばれる建築様式の建物である。中庭を挟んで向かい合った二棟の母屋(双落)とそれを結ぶ二棟の小部屋(双護龍)からなった、いわゆる四合院形式の建物である。四合院という呼び名は清代の中国北方の建築様式についていう呼び名のようだが、双落双護龍もこれと同じ正方形の敷地の建物で、母屋(落)と小部屋(護龍)の組み合わせでいろいろな呼び名が付けられている。ちなみに、「一落二護龍」(正身帶護龍とも一落二櫸頭とも)と呼ばれる建築様式がいわゆる三合院建築である。
 客室は全部で8室、内6室はダブル、2室は4人用で離れのようになっている。各室にサニタリーは完備。中庭、小さなホールやキッチンなどは共用スペースで、朝食も中庭かホールでセルフでいただく。

 そもそも金門島に大陸から漢人が入ってきたのは、西暦4世紀の初め、大陸中原の戦乱から逃れた人々が浯洲(現在の金門島)に渡ってきたのが始まりといわれる。彼らは防御のため各姓氏ごとに集落を形成し、祖霊を祀る廟を中心にして結束し、居住範囲を定め、風水を信奉し、防御を固めて集落を守ってきた。
 「水調歌頭民宿」は、金門島西南部海岸に近い水頭集落にある。水頭は1913年前後から開拓がはじまり、清乾隆帝(1735~1795)の時代に現在の規模まで発展した。
 水頭がいちばん華やかだった時期は、19世紀末から20世紀初頭の清朝末期の30年間といわれる。金門海峡を渡って対岸の厦門から大陸へ、あるいは南洋諸国や日本に渡って商売に励み、故郷水頭に戻ると豪華な洋館をこぞって建築した。水頭には閩南式住居の間に、こうした廟や学校、経堂、洋館が今も残り、独特の景観を作り出している。水頭集落の詳細は、「台湾の離島・金門島 その3」で。
 (2011年10月)
    
    
大きな住居で、複数の棟が集まっている。泊まった建物の遠景。正面扉の両側に部屋が設けられた構造がよく分かる。さらに外側両翼にも別の部屋がある

文化財のような建物。ここに見える正面の門は普段は閉まっている。内側には閂(かんぬき)があるが外からは開けられないが、開けておくと観光客が見物に入ってきてしまう。でも、それだけの価値のある建物に泊まっていると思うと、自慢気分になる

ぐっと近づいてみる。窓には頑丈な石の桟が組まれている。賊の侵入を防ぐためだ。手前の窓の部屋に泊まった

正面扉のアップ。門扉はみんな黒塗りの厚い板で、赤い雙聯が貼られている

建物に囲まれた中庭は公共スペースで、天気がよければここで食事やお茶ができる。左側に小さなキッチンがあり、朝食はここに用意されていて、あとはセルフでまかなう

中庭は4つの棟に囲まれている(四合院造)。その一つの祭壇のあるこの部屋は、公共スペースで、朝食のテーブルにも使われる

宿泊した棟は、二つの客室を挟んで小さなホールのような間がある。部屋は狭いのだが、ここがリビングのように使える。台湾ではオーナーは別のところに住んでいて、鍵だけ預けてあとはお任せ、というスタイルの民宿も多い。ここ水調歌頭でもオーナとは最初に案内を受けて鍵を預かった時と、チェックアウトの時だけしか顔を合わせなかった。後は、自由にスペースを使うことができ、自分の別荘にでも来たようなくつろぎ感があった。緊急の時は携帯電話に連絡すすればすぐに来てくれる

散歩中に摘んできた花を活けてみる

茶器のセットも置いてあるので、持参の茶葉で本格的なティータイムも楽しめた

客室の外鍵は南京錠。内側は閂スタイル

客室は暗い。何しろ太い石の桟がはまった小さな窓が一つしかない。二人部屋(ダブルベッド)のシングルユースで泊まる

部屋が暗い分、中庭の明るさと解放感が際立つ。昔ここで暮らしていたファミリーも、この中庭が生活の中心だったのかもしれない。天気のよい日の朝食のテーブルに、広東粥、万頭、豆漿などを並べる。フルーツは持参の芒果

広東式の粥。朝食は小さな厨房に用意しておいてくれるのでセルフでいただく

こんがり焼きあがったパンと油條。近くに食事のできる場所はなかった

あいにくの雨の日には、祭壇のあるホールでの朝食になった。テーブルクロスや食器なども清潔できちんとしたものが用意されているのがうれしい。管理が行き届くのか心配になるくらいだ

テーブルに自分たちで活けた花を置いてみる。このような落ち着いた、歴史ある空間でゆっくりできるのだから、こんなにいいことはない。ホテルでは絶対にできない体験だった。センスの良い空間づくりも見事で、とてもぜいたくな気分が味わえた

手の込んだタイルの張り方や造作を見ると、かつては相当な財のある家だったことがうかがえる。特に中庭を取り囲む回廊部分は細部まで本当に行き届いている

宿泊客の出入りには、建物側面の石壁にある勝手口のような扉を利用する

雙連が張られた入り口。夜は灯油ランプを利用した灯りが目印

入り口わきに置いてあった緑色の郵便箱は、たぶんディスプレー。書いてある住所が違っていた

閩南式建築に特有のはねあがった棟。何を意味しているのかは分からないが、魚の胸飾りが海との深いかかわりを象徴しているようだ

もともと別の家だったのだと思うが、それぞれに手を入れて「水調歌頭」の屋号で営業している

金門島のパンフレットなどでは、「水頭40號民宿」「水頭41號民宿」など番地に、括弧して(水調歌頭)などのように紹介されている

入り口の脇に置かれた、風獅爺(フォンスーヤ)は、邪気の侵入から家を守ろうとしているようだ。金門島の集落の入り口には赤いマントをなびかせた大きな風獅爺が立っていることがある。風の強い金門島で、風を鎮め福をもたらす守護神として崇められている



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